夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜
「悠、どういうこと? あなたはバーテンダーじゃなかったの? 仕事を変わったの? どうしてここにいるの?」
矢継ぎ早に質問を繰り出す私に悠が苦笑した。
「うん、それは落ち着いた場所でちゃんと説明させて。まずはお父さんの会社をどうにかしないと。あとで連絡するから、番号教えてくれる?」
それで気がついた。私たちはお互いの電話番号さえも知らなかったのだ。
「……わかった。待ってる」
「うん、待ってて。それと……茉莉、会いたかった。愛してる」
自然に顔が近づいて、舌を絡めるキスをした。
一週間ぶりの口づけは、蕩けるように甘かった。