夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜

 都内に高く(そび)えるタワーマンションの18階。

 12畳のLDKからは煌めく夜景が一望できる。

 悠が所有しているこの部屋で、私たちは今、2人きりで彼の誕生日を祝っている。


 1週間前のパーティーの日、悠から連絡が来たのは夕方だった。

 私が彼に言われた住所に向かうと、それがこのマンションだったわけで。

『ここは?』
『俺のマンション。日本に来たときに使ってる』
『ええっ!』

 それだけでも驚きだったけれど、悠から聞かされた話はさらに驚きの連続で。

 じつは彼は酒類の輸入卸売業者大手の『株式会社乙羽』の御曹司だった。
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