夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜
「――ところで茉莉、覚えてる?」
「えっ、何を?」
「誕生日プレゼント。『おめでとう』と茉莉のキス」
「えっ、おめでとうはここに来てすぐに言ったけど」
プレゼントにはネクタイを購入済みだ。
あとで渡すつもりでバッグに入れてある。
「ネクタイ……あるけど、いる?」
「わざわざ買ってくれたの? 嬉しいな。でもその前に、お祝いのキスが欲しい」
「いっ、いいけど」
もう何度もキスをしてるのに、改めてとなると未だに緊張してしまう。
頬にチュッと唇を押し当てたら、悠は「まあ、これはこれで可愛いからいいけど」と言いつつ苦笑した。
「ねえ、頑張った俺に特別ボーナスはある?」
「ボーナス?」
「うん、ご褒美は茉莉がいい。茉莉を俺にくれる?」
悠の瞳が蠱惑的に煌めいた。
きっと悠から見える私の瞳には、欲情の色が浮かんでいることだろう。
「私でよければ……喜んで」
「うん、僕のものになって……」
その場で濃厚なキスを交わしたあと、横抱きでベッドルームに運ばれる。