夢見るだけじゃ終われない 〜恋と令嬢とカクテルと〜

 それから半年後。
 私がニューヨークのJFK空港に降り立つと、出口で悠が待っていた。

「久しぶり。機内はどうだった? 長旅で疲れたでしょ」

「全然! だって悠ったらファーストクラスのチケットを用意してるんだもん。快適すぎてあっという間だった」

 悠が私のスーツケースを引き、2人で駐車場へと歩く。

 あれから半年、私たちは日本とニューヨークでの遠距離交際を続けてきた。

 このたび私のKUONホテルニューヨーク店への転勤希望が受理され、今日から悠が住むマンションで同棲を始める。

 あれから父の会社は銀行からの融資を受けられることになり、当面の危機を脱することができた。

 健二さんは姉と結婚して『宝生フーズ』に来てくれた。

 今は総合商社で培ってきたノウハウを活かし、副社長として父をサポートしてくれている。

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