クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです



もうもうとたちこめる白いもや。

「げほぉ、ごほぉ」

涙が出て、むせ返った。もやなんかじゃない、煙だ。

「げほっ、げほっ」

息ができない、煙たい。

頭が、くらくらする――立ち上がれない。

苦しいのに――やばい。

「――で、か」



「――ぶ、ですか!?」

ええ?

「――う、安心、……さぁ!」

ぐっと引っ張り上げられて、がっしりとしたなにかに抱きかかえられて――目の前に銀色の服を見た。

火事だ。
私、火事にあったんだ。

パニックになることはなかった。
私を抱きかかえてくれるその腕が安心感をあたえてくれたから。

その隊員の顔はマスクでよく見えない。
わずかに、レンズから精悍とした黒い瞳が見えるだけだった。そしてその目は、私を見つめるなり、驚きの色を浮かべていた。

ひどく懐かしいその目を見て最後、私は意識を手放した。


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