クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです
浮気騒動とボヤ騒ぎのショックがまだ残っていたかもしれない。
二時間もすると、だいぶ酔ってしまった。
ふと見るとスマホが鳴っていて、つい相手を確かめずに酔った勢いでタップする。

「もしも~し、どなたですかぁ~」
『……俺だけれど』

若干引いたような間をおいて、低い声が聞こえた。
冷や水を浴びせられたかのように、ぎょっとなる。

「お、お兄ちゃん」
『こんな時間までまだ帰ってこないのか』

こ、こんな時間ってまだ八時じゃない。
盛り上がって大笑いをしている友達たちに断って、私は店の外に出た。

『なにをしているんだ?』
「なに、って、友達がボヤ騒ぎのお見舞いとして飲み会を開いてくれたから」
『飲み会?』

鋭くなった声に、酔いも飛んでいく心地がした。
< 14 / 41 >

この作品をシェア

pagetop