クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです
その後もかかってきたけれど無視した。
酔いは完全に醒めていた。
友達たちの元へ戻る気分にもなれなかった。
ノースリーブの腕に夜風が冷たい。なんかもう、テンションが落ちちゃった。

「よ、電話誰から?」

そこへ同じサークルの本田くんが来た。明るくて、ちょっといいなと思っていたイケメンだ。

「お世話になってる知り合いのおじさん」
「あー仮住まいさせてもらってる」
「そ。何時に帰ってくるんだって保護者面してちょーうざい」

思いっきりしかめっ面を浮かべた私に、本田くんは持ち前の人懐っこい笑みを浮かべた。

「大変だな、じゃあもう帰るの」
「帰らないよ。帰りたくないし」
「ふぅん。じゃあさ」

本田くんは不意に私の手を握った。

「これから俺と時間つぶしに行かない? いい店知ってるんだ」
「え? でもみんなに悪いし」
「皆だいぶ酔ってるから気にしないよ。俺、新井と二人がいいんだけれど」

私の手を引き寄せて距離を詰めてくるその顔は、やっぱりイケメンだ。
彼氏に裏切られ、初恋の相手からは見向きされなくてハートブレイク中の私。
いつもなら、すぐについて行ってしまうかもしれない。でも――。

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