クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです



「いい加減、はなしてよっ」

家に着いてやっとお兄ちゃんの手を振りほどくことができた。
お兄ちゃんはタクシーの中でもずっと繋いで離さなかった。本当に、まるで小さな子ども扱いだ。

ぎゅうと腕を抱いた私の肩には、ジャケットがかかっていた。お兄ちゃんのだ。
ノースリーブに膝上スカートという私の格好を見兼ねたらしい。
そんな恰好をして子どもが夜の街をうろつくものじゃないとでも思っているのかもしれない。

お兄ちゃんは、相変わらず厳しい表情だった。

「どうしてちゃんと連絡しなかったんだ」
「……」
「いつ帰ってくるかって心配しただろ」
「……それって、私を面倒見る義務があるから?」
「ああそうだよ」
「……」
「おまえのご両親に任されている責任があるからな」

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