クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです
お兄ちゃんは、いつも私を守ってくれた。
真面目で優しいお兄ちゃん。
そのお兄ちゃんを信頼して、私の両親はいつも言ったものだった。
『剛史くん、梨央をお願いね』
お兄ちゃんは責任感の塊のような人だ。
お願いねと言われて、突っぱねるわけにはいかない。
言われた通り、いつも私を守ってくれた。
そこにお兄ちゃんの意思はなかったのかもしれない。
だから、地元を離れて両親からお願いされなくなってからは、私を遠ざけていった。子どものおもりから解放されたがるように……。

なんだかもう、自棄になって来た。

ねぇお兄ちゃん、しょせん私はお兄ちゃんにとってはいつまでも子どもなんでしょう?
でも、大人になった部分も確かにあるんだよ。
それを今、証明してあげる。

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