クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです



気がついたら病院だった。
精密検査を受け、問題なしと診断を受けたところで警察がやって来た。

「ボヤですんだから良かったものの、運が悪かったら大惨事になっていましたよ。以後絶対に気を付けてくださいね」
「はい……」

原因は火のついた煙草だった。
おじさん警察官に事情聴取のあとこってり絞られて疲れ果てた。
ひと眠りしたかったけれど、退院しなければ。

「って言ってもなぁ……」

焦げたフローリングと煙が沁みついた壁は改修が必要で、部屋にはしばらく帰られない。
困ったなぁ、大学にも行かなきゃならないし……それ以前に今夜どこで眠ればいいの?
友達にラインしようとした時だった。

「新井梨央(あらいりお)さん、お迎えが来ていますよ」

看護師さんがやってきて教えてくれた。
お迎え? 両親は遠く離れた地方に住んでいる。
飛んで来てくれたとしても、こんなに早く着くとは……。

看護師さんの後ろから入ってきたのは、背が高い男の人だった。

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