クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです
近くの居酒屋に入った。
本田くんがポンポンと注文していく中、私はずっと黙りこくっていた。
いや、うわの空と言っていい。

「どうしたの、さっきから黙りこくって」
「ごめん、なんでもない」

と言ってみせるが、さっきの火事のことが、お兄ちゃんのことが気になっていた。
ずっとお兄ちゃんのことを気にしていた。

店を出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
けれどもパトカーを見かけたり、消防車の赤いランプも瞬いているのが見える。

「まだ治まってないんだなーさっきの火事。ね、これから飲み直さない?」

現場の方を見つめている私に本田くんが誘ってきた。

もうだいぶ酔いもまわっていた。
私も彼に煽られてけっこう飲んで、ふんわりしていた。
けれども火事が治まっていないことを知るとそれも醒めていた。

「うわ、あのビルの火事まだ続いてるんだ」
「ほんとだー」

ビルからグループが出てきて、火事現場を見つめた。

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