クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです
「どうしたの? なにかあったの?」

通行人が私の大声に驚いて振り返っている。
本田くんが恥ずかしそうにしているが、もうそんなのどうでもいい。

病院にいるなんて……お兄ちゃんがやっぱり運ばれたんじゃ……。

「どこの病院なの?」
『南条病院だが。実は――』
「今すぐ行く!」
『え』
「私、今すぐそこに行くから待ってて、お兄ちゃん!!」
『ま、待て、俺は――』

次の言葉を聞かずスマホを切ると、本田くんに詫びるのもそこそこに、私はタクシーに飛び乗った。


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