クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです



「あの、今日こちらに消防隊員が運ばれてきましたよね?」
「恐れ入りますが、そういった情報はお答えできないことになっておりますが」
「本人がそう言ってたんです! 会いたいんですけれどもどうすればいいですか?」

病院に着くなり早々、私は受付の人に畳みかけた。
けれども受付の女性は淡々とした調子で対応してくる。

「失礼ですが、ご家族の方ですか?」
「はい!」

嘘だ。けど、家族みたいなものだ。
女性はパソコンを少し操作して、

「ご家族の方はもう先に面会にいらしていますけれども。失礼ですが、身分を証明するものはございますか」

う……。
ここは一か八か賭けるしかない。
と、私が学生証を取り出そうとしたところで、

「その女性はまったく関係がないです」

その声の方を見た瞬間、ぎゃあと悲鳴を上げてしまった。

「お兄ちゃん!?」

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