クールな自称保護者様も燃える恋情は消せないようです
『そんなことじゃないかと思ったわ。でも不幸中の幸い。剛史くんがいてくれるからね。いったんこっちに帰ってきなさいと言いたいところだけれど、剛史くんに面倒みてもらうことになったから、安心だわ』
『え?』
『新しい部屋が見つかるまで、剛史くんの家にやっかいになりなさい』
と、お節介にも母がお兄ちゃんに私の面倒をお願いしたらしかった。
責任感の強いお兄ちゃんだ。遠慮する私に有無を言わさず、こうして部屋まで引っ張ってきたのだった。
部屋に着くなりお風呂を借りた。
身体中に煙の臭いがこびりついてひどかった。病院で買ったパジャマにもこびりついている気がする。
ちなみに、ボヤの当時私が身に付けていたのは下着とキャミソールだけだった。
ケンカした時は素っ裸だったから、ボヤに気付いて辛うじて身に付けられたのはそれだけだった。
だから風呂上りは、お兄ちゃんの服を借りた。もちろんぶかぶかだ。
「そんな服しかなくてすまないな」
「ううん。どうもありがとう」