親にも妹にも婚約者にも夫にも恵まれなかった私ですが、公爵家令息に溺愛されて幸せになるようですよ?
9 第三王子と男爵令嬢の行く末
「お嬢様、報告があります」
後日、チェレスティーロが私に、第三王子と男爵令嬢の進退について教えてくれました。
あれから第三王子は、第二王子と同様に貴族籍を剥奪されて、平民に堕ちたようなのです。
アバズレー男爵令嬢も同じく、実家に放逐されたようですわ。
そして、風の噂によるとなんとこの二人、平民になった元第二王子を頼ろうと探し出したそうなのです。
そうしたらなんと、元第二王子は、物乞いになっていたのだとか。
「え? でも、腐っても元王子だし、最初の職と家の斡旋くらいはあったんじゃないの?」
「お嬢は、アレを雇い続けたいと思う職場があると思う?」
「……」
能力がなく金遣いが荒く女にだらしない常時上から目線の元第二王子。
彼は速攻で働く場所を失い、上から目線が過ぎて求職もままならず、最終的に日がな毎日、ただただ黙って器にお金を入れてもらうのを待つ物乞いにジョブチェンジしたのだそうです。
そして、それを見つけ出してしまった元第三王子と元男爵令嬢も、同じ経緯で職を失い、元第二王子に寄生しようとしていたので、その邂逅は酷いものだったようです。
「ナ、ナルシスト兄上……」
「なんだ、ナサケナシーか?」
「や、やだぁナシー様、なぁにこの浮浪者。あたくし怖いわ!」
「なんだ、女連れか。こっちに寄越せ、俺は兄貴だぞ!」
「兄上、やめてください!」
「いやぁ、ナシー様助けてぇ!!」
という展開があったのだとかなかったのだとか。
「それでそれで、三人はどうなったの?」
「これ以上はお嬢が知る必要はねーな」
「なんでよ!」
「教育に悪い」
「この過保護!」
「なんとでも言いなさい」
身を乗り出して詳細を尋ねる私のおでこに、チルチルはデコピンをかまします。
そんなこんなで、続きは私の青髪の侍従に伏せられてしまい、私はあの三人がどうなったのか、知ることはできませんでした。
チルチルの意地悪!