半径3mの世界で
…解ってる。
これは嫉妬だ。

隣の、仲睦まじい恋人達をこれでもかと突き付けられて、あたしは羨望と嫉妬のブレンドコーヒーをこの2ヶ月ずっと飲み続けているのだ。

きっとお腹の中は真っ黒でドロドロなんだろう。

嗚呼!独身女の僻みってこのことね…

うぅう、こんなあたしだって仕事のあとのテレビや買い物が楽しくて、一人暮らしが最高に充実してたのに。

…2ヶ月前までは。

お隣りさんがあんなにいちゃいちゃいちゃいちゃ楽しそうで。

だから、一人が惨めな気がしてきて。

焦りだして。

“一人”が“独り”になって…




…淋しい。




しょんぼりと、お布団をかき抱く。
抱き枕でも買えばよかった。
週末、買ってこよう…。


隣からは変わらず艶っぽい声が聞こえてくる。


お布団と一緒に抱き込んだ枕が、なぜだか濡れている。


あたしは泣いていた。


ほんのちょっとだけ涙が流れて、その全部を枕が飲み干した。

一度、強くギュッと抱き締める。

息を吸って…吐いて……。ん、もう大丈夫。


「よし、気持ちの調整できた」
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