半径3mの世界で
今日はどこに食べに行こう。
お弁当を作るのが面倒なこともあって、週に2、3回は外に食べに出掛ける。

「山さん、今日はどこにする?」

当然同期の山本良子(あたしは山さんと呼んでいる)も一緒だ。

「そうねーおとついは中華だったし、今日は軽くパスタにしよう」
「あっいいね!じゃ行こっか」

会社の近くにピザ&パスタの店がある。
ランチの種類が豊富で、数量限定の生パスタが美味しいお店だ。

あたし達はもちろん常連だったけど、実は料理以外の目的もあるのよね。


「今日はあの人いるかな?」

山さんがニコニコしながら聞いてくる。

「フフ、やっぱりそれが目当てだったんだ。いるといいね」

「今週まだ一回も会ってないからなあ!今日は会えますよーに!」

そう。
パスタ屋通いの最大の理由は、そこに山さんの気になるウェイターがいるからだった。

山さん曰く、゛恋になる前の淡い感情゛らしい。

うーん、青春。なんかとっても羨ましいっ。

「思い切って彼のシフト聞いてみたら?あなたのファンです、って言ってさ♪」

「やだーそんな恥ずかしいこと言えないよーチキンだもん私ー」

ほんのり赤くなる山さん。かわいいなぁ。

そんな会話をしながら歩いていたら、いつの間にかお店の前に着いていた。

山さんがドアを開ける。
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