半径3mの世界で
ドライアイと潤いの美青年
あたし、枯れてるなぁ…
会社の帰りに寄ったカフェで、盛大に溜め息をついているあたしは、倉田紗奈(くらた さな)。
社会人2年目の23歳、彼氏無し。
はあぁ…とまたも深い溜め息がでる。
この、「彼氏無し」が問題だからだ。
(…やっぱり、あたしって枯れきってる…?)
そう、あたしには今、彼氏どころか好きな人さえいない。
しかも憧れの先輩や可愛い年下君、一緒に盛り上がれる気の利いた同僚といった、独り者の心のオアシスたる存在も、皆無である。
もう一度言いたい。
心のオアシスですら
皆 無 である。
(あたしって男運ないんかな…)
ちょっと落ち込んでみたが、いや、と首を振る。
(あたしが悪いんじゃない!周りがダメ男すぎるんだ…!!)
自分のことはすっかり棚にあげているが、こうでも考えないと落ち込みすぎて出会い系に走りそうだからだ。いや、走らないけど。
(そんなポジネガ思考なあたしが結構好きだったりするんだけど…ね)
コーヒーを飲みながら、さっき本屋で買った洋服雑誌をめくっていく。
ふと、めくる指が止まった。