半径3mの世界で
それは、毎月一般人の、おしゃれでかっこいい男の子を紹介するコーナーだった。

自然と食い入るように見つめてしまう。

(この子はイマイチだけど、こっちの子、かわいい顔してるな~。こんな子が近くにいたら、それだけで目が潤っちゃうのに~)

残念ながら、あたしは極度のドライアイだ。デスクワークゆえの悲しい職業病だけど、目がウルウルキラキラしている女子を見ると、ちょっと嫉妬してしまう。

(欠伸しないと涙が出てこないあたしなんて、心の渇きが目にまででてるようなもんよね)

そんなことをぼんやり考えながら、目の渇きを思い出して目薬を点す。

「あ」



ぽとり


目薬を点した目から、しずくが落ちた。
まっすぐ、雑誌の上に。

「あぁ…」

何気なくふこうとして、手が止まる。




「……この人、かっこいい……」
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