交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

案内されたバスルームで優雅なバスタイムを過ごしたあと、自室で細かな整理をしていると、入れ違いでお風呂に入った吉鷹がドアをノックして顔を覗かせた。

半乾きの髪の無造作な感じが妙に色気を漂わせていたため、意図せず心臓がとくんと跳ねる。不自然に目を逸らして、「どうしましたか?」ととってつけたように問いかけた。


「どうもこうも、そろそろ寝るなら寝室へ来ないか?」


壁掛け時計は十一時半を指している。普段の茉莉花ならちょうどベッドに入る頃だ。
明日は日曜日だが、ブライダルサロン勤めの茉莉花は不定休のため出勤。そろそろ寝ないと仕事に響いてしまう。


「……はい」


彼の言葉に従い、あとを追いかけて隣の寝室へ足を踏み入れた。

ブラウンを基調とした部屋は、寝室にふさわしい落ち着きのあるトーンでまとめられている。キングサイズのベッドは、ふたりで寝るには十分過ぎる大きさだ。

(あのくらい大きければ、隣で寝ても気にならないよね……)
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