交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「ごちゃごちゃ言うのはもうおしまい。いい加減キスさせろ」
「待っ――」
尻切れトンボになった言葉は彼の唇に飲まれた。
先ほどキッチンでしたような軽いキスではない。攻め込むみたいに唇を割り、吉鷹の舌が侵入を果たした。
ぎゅっと力の入った手を吉鷹が握り返す。その力強さが想いの深さに思えて、うれしさが込み上げてくる。好きな人に好きになってもらえる幸せを初めて感じていた。
吉鷹の舌は奔放に動き回って口腔内をなぞり、茉莉花の舌を甘噛みしては吸い上げる。
「……んんっ」
酸素を求めて喘ぐ口から、甘い吐息が漏れるのは必然。それごと奪うように繰り返される口づけに、茉莉花は完全に翻弄されていた。キスがこんなにも気持ちのいいものだと教えてくれたのは吉鷹だ。
熱いのは唇だけではない。体の中心に火がついたような感覚だ。そのうち溶けてなくなりそうな気さえする。
すべてを貪りつくすようなキスが解け、吉鷹の熱を帯びた瞳が茉莉花を見下ろした。