交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

お客様をエントランスで見送り、店内に戻った茉莉花は不意に胃のムカつきを覚えて口元を押さえた。


「あれ? 茉莉花、どうかした? 具合でも悪い?」


カウンターにいた美春が気づいて駆けつける。


「うーん、食べ過ぎたのかな」


首を傾げながら答える。朝食にフレンチトーストを作ったが、かけすぎたシロップが原因かもしれない。
そうしている間に再び吐き気に襲われ、慌ててレストルームに駆け込んだ。

個室に入り、いきなりやってきた気持ち悪さと格闘する。シロップがそこまで胃にもたれるものだとは思いもしなかった。


「大丈夫?」


個室から出ると、追いかけてきた美春が心配そうに茉莉花の背中をさする。


「うん。吐いたからすっきりした」
「ねぇ、……もしかしておめでたじゃない?」


訝しむように顔を覗き込む美春と目が合った。
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