交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

これまで事務所の経営など気にしてこなかった茉莉花が、突然突っ込んだ質問をすれば不審がって当然だ。


「あ、ううん。父親が経営する会社の実情くらい知っていないとあれかなーと思っただけ」


なんとか誤魔化して笑顔を向ける。


「そう。それならいいけど。資金面も特に困ってはいないわよ」
「……新都銀行を使ってるんだよね?」
「主にはそうね。新都銀行がどうかした? なにか良くない噂でもあるの?」
「違うの違うの。純粋な興味。マリアンジュも新都銀行がメインだから、ちょっと聞いてみただけ」


茉莉花に探偵は不可能だと悟る。探りを入れるのが下手過ぎて情けない。


「新都銀行は大手だし、あそこが傾くような事態にはならないと思うわよ。茉莉花が今心配するのは、自分の体。大事にして出産に臨まなきゃ」


和美は、茉莉花が事務所ではなく新都銀行の経営を心配していると勘違いしたようだ。


「そうだね。体調管理には気をつける」
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