交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
パーティーに相応しくところどころにラメを利かせた華やかなヘアメイクだ。
「さすが美春。とっても素敵」
「よかった。腕のいいヘアメイクさんの担当するのって結構プレッシャー」
「そんなことないでしょ」
すぐそばに立つ美春の腰を肘で軽く小突いた。
「さぁ、お姫様、立ってみましょうか」
美春がふざけながら手を差し出し、茉莉花を立たせたそのとき、忙しないリズムでドアがノックされる。茉莉花の「はい」という応答で入ってきた人物を見て鼓動が弾む。吉鷹だった。
「茉莉花、ただいま」
「……おかえりなさい」
返事が遅れたのは、彼がパーティー仕様のスタイルにチェンジしていたせいだ。
深みのあるスリムなブラックスーツはかすかに光沢があり、白いシャツにドット柄のブラックタイを合わせたコーディネートは英国紳士のように優雅な装いである。