交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
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式はつつがなく終わり、その後予定されていたパーティーは新婦の体調が優れないことを理由にして、招待客だけで料理を楽しむという異例のものになった。
そのパーティーでは、新婦が別人に代わった話題で持ちきりだろう。ひとまず責任を果たし、控室で着替えを終えた茉莉花は、そこで解放されるかと思いきや――。
「宿泊先のホテルに行こう」
彼に唐突に誘われた。
「い、いえ、とんでもありません。私はここで失礼させていただきますので」
代役とはいえ結婚式の直後であり、〝ホテル〟というキーワードに貞操の危機を感じずにはいられない。そそくさと荷物を掴んで出ていこうとしたが――。
「そんなあからさまに嫌がらなくてもいいだろ。変な意味はない。ちょっとした礼だ」
「……お礼、ですか」
「もう少し付き合ってくれ」
逞しい妄想を恥じつつ、部屋を出ていく彼に従った。