交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
首を傾げて聞き返した茉莉花に、吉鷹が悪だくみでもするようにニヤッと笑う。
「なんかエッチ」
「男なんだ、しょうがない」
まだ生まれてもいないのに十何年も先の未来の話が、茉莉花の胸をほんわかとあたたかくする。
この先何年も吉鷹と一緒にいられる幸せを不意に感じて、彼の肩に頭を預けた。
「茉莉花、ひとつ提案があるんだ」
なんだろうかと、そのまま彼の顔を見る。
「子どもが生まれて気分的に少し余裕ができたら、結婚式をしないか」
「……え? 結婚式?」
吉鷹がそんな提案をするとは思いもせず、まばたきを激しくして聞き返す。なにしろ茉莉花たちは一度、挙式済み。もたせかけていた頭を戻し、戸惑いいっぱいに彼を見つめた。
「ハワイの挙式はもともと俺たちふたりのものじゃない。正真正銘、俺たちの結婚式をしよう」
「正真正銘の……結婚式?」