交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
三日後、なるべく動いたほうがいいという医師の助言に従い、茉莉花は運動も兼ねてマリアンジュを訪れていた。
とはいえ電車での移動は控え、タクシーで乗りつけたから運動とは呼べないかもしれない。
仕事の邪魔にならないようバックルームにいる茉莉花のところには、大きくなったお腹を撫でにスタッフたちが代わる代わるやってくる。
「うわぁ、ほんとにおっきくなったねー」
「今にも生まれそう」
「男の子なんでしょう? 胎動も激しそうだね」
そんな声を掛けられながら、つかの間の会話を楽しむ。
美春が淹れてくれた冷たい麦茶で喉を潤し、外の暑さで噴き出した額の汗を拭った。
「予定日はまだだったよね?」
「うん、八月五日だから、あともうちょっと」
もういつ生まれても大丈夫だと医師からお墨つきをもらっているから、入院の準備も万全だ。
「赤ちゃんかぁ、いいよね、幸せの象徴みたいで」
「美春の結婚式も、あともう少しだね」