交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

「三十七週は過ぎてるんだよね?」
「うん。三十八週に入ったところ」
「それじゃ、いつ産まれてもおかしくないんだ。……もしかして陣痛がはじまったんじゃない?」
「え、まさか……」


なにしろ初めての経験のため、陣痛がどういうものかわからない。お腹を撫でて痛みをやり過ごし、麦茶を飲んで美春とまたおしゃべりしていたが、再び強い張りがやってきた。


「――っ」
「茉莉花、やっぱり陣痛だよ」


たしか病院からは痛みの間隔が十五分になったら連絡をするように言われていたはず。先ほどから十五分も経っていない。


「病院に連絡してみる」


スマートフォンをバッグから取り出して病院の指示を仰ぐと、すぐに来院するようにとのことだった。

吉鷹は仕事中のため連絡を躊躇ったが、なにかあったときには必ず知らせるよう再三にわたって言われている。打ち合わせや来客の最中だったら電話には出ないだろうから、一応一報は入れておこうと彼のナンバーをタップしたら、ワンコールも鳴らないうちに応答があった。
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