交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

《もしかして産まれるのか!?》


茉莉花はなにも言っていないのに、先読みした吉鷹の声が上ずる。


「どうしてわかったの?」
《なんとなく気になって、茉莉花にメッセージを送るところだった。今、マリアンジュだろう? すぐに向かう》


茉莉花が今日ここへ来ることは伝えていたため、詳細を話すまでもなく通話が切れた。それも茉莉花の返事も待たずに。
慌てた様子はいつもの吉鷹とまるで違う。


「観月さん、来てくれるって?」
「うん、すぐに会社を出るって」
「そっか。よかった。それじゃ迎えがくるまで、店内のソファで待とう」


硬い椅子よりそのほうがいいだろうという美春の言葉に甘え、茉莉花は彼女に付き添われて店内で待つことになった。

吉鷹が迎えにきたのは、それから三十分が過ぎた頃だった。予想外の渋滞に巻き込まれてヒヤヒヤしたという。
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