交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

「これは俺の願いでもあったから」
「吉鷹さんも?」
「茉莉花を愛したうえで、きちんと将来を誓い合いたかった」


ハワイの挙式では、ふたりの間に愛はなかったから。
茉莉花を引き寄せ、吉鷹が髪にキスを落とす。頬に手を添えられ見つめ合った瞳はすでに熱を孕み、この先の展開を容易に予感させる。


「本音を言えば、ウエディングドレス姿のまま茉莉花を抱きたかったんだけど」
「え?」
「背徳感があってゾクゾクしそうだろう?」


目を細め妖艶に微笑む。その目線が一瞬だけ、茉莉花が脱いで壁に掛けられているウエディングドレスに飛んだ。


「それじゃ、吉鷹さんも着替えますか?」


彼の衣装もドレスの隣に掛けられている。シルバーグレーのタキシード姿の吉鷹はとても素敵だった。


「……冗談だったのならいいですけど」


吉鷹がポカンとしたため急いで訂正する。やる気満々みたいで恥ずかしい。
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