交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
(私ってば、なに言ってるのかな、もう……!)
目を逸らしたが、無意識に唇が尖ってしまった。
「いや、大歓迎」
彼の口角が三日月のように上がる。
「早速着替えよう」
茉莉花の手を引いて立たせ、掛かっていたウエディングドレスを差し出す。
「……本気ですか?」
「茉莉花が俺をその気にしたんだろ。あっちで着替えておいで」
「だけど悠生、起きないかな」
「あれだけはしゃいでいれば朝までぐっすりだよ」
くるりと体を反転させられ、そっと背中を押された。
渋々というよりはドキドキ。胸の高鳴りを覚えながら、パウダールームでもう一度白いドレスに袖を通す。
緩やかにアレンジされたアップスタイルのヘアもメイクも、式のときのまま。完全な花嫁の姿に戻った。