交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

パウダールームを出たが吉鷹の姿はまだなく、茉莉花はリビングの窓辺へ足を進めた。
大きな窓のすぐ下には広い庭園があり、控えめに灯されたライトが夜を静かに彩る。さらにその向こうには森が広がっていた。

ふと窓に人影が映り込む。振り返ると、タキシードに着替えた吉鷹がいた。

これからふたりを待っている展開を知っているせいか、青空の下、シャンティイ城で見たときよりも数段艶やかだ。


「茉莉花」


低く囁く声が情欲にまみれていて、茉莉花の鼓動を跳ね上げる。
ゆっくり近くまでやってきた彼は、茉莉花の腰を引き寄せ間近で見つめた。


「もう一度誓うよ。神じゃなく茉莉花、キミだけに」


頬に手を添え、唇がはっきりと動く。


「一生離さない。……永遠に」
「私も」


ふたりだけの誓いがキスに溶けていく。
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