交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました

「これ、悠生が作ったの?」
「うん、おしろ」


茉莉花の問いかけに悠生はうれしそうに答えた。


「な? すごいだろ。ちゃんとそれっぽくできてる」
「ほんと、すごい」


二歳にも満たない我が子が、いっちょ前に砂の城を作るとは。
さすが観月建設の跡取りだと目を丸くする。親ばか丸出しで、ふたり揃って絶賛だ。

吉鷹がその城から続く溝を掘り、そこに海水を流し込むと、悠生はきゃっきゃとはしゃいだ。


「将来は吉鷹さんのあとを継いで観月建設の立派な社長ね」
「いや、それは悠生が決めることだ。やりたいことがほかにあれば、俺はそれを全力で応援する」
「……いいの?」


観月建設のさらなる発展を見据え、跡継ぎがほしかったはずだ。まだ二歳にもならない悠生は次期社長の期待を背負って生まれてきた。


「可能性が無限にある子どものうちから、ひとつしか選択肢がないなんてあんまりだ。悠生には自分で考えて、自分の歩みたい道を選ばせてやりたい」
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