交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
語気鋭く迫られ、言葉に詰まる。
やむを得なかったとはいえ、手を貸したのは事実。顔の角度を変えて細めた目で直視され、身動きが取れなくなった。
「……私が観月様のお相手として神父様の前に立てとおっしゃるんですか?」
彼が放った先ほどの言葉をまさかという思いを込めて確認する。
ところがそれにも彼は即座に反応した。
「その通り」
吉鷹が大らかに頷く。慌てる様子などいっさいない態度は、深刻な事態が起こっているのを忘れさせるほど平然としている。余裕綽々に見えた。
「日本から超VIPも招いているし、今さら挙式を取りやめるわけにはいかない」
「超VIP?」
「国土交通省の西宮大臣だ。キミも名前くらいは知っているだろう? 彼の予定が唯一押さえられるのは今日だけ」
吉鷹が国の超大物の名前をあげる。
すごい人物なのはわかるが、あまりにも遠い存在すぎて今ひとつピンとこない。実際に会えば、また違うのだろうか。