交際0日、冷徹御曹司に娶られて溺愛懐妊しました
「観月家の慣習的なものだ。祖父母も両親も政略結婚だから、その流れに則っただけ」
必要ないのに慣習に従って結婚をさせられそうになっていた結愛が、さらに気の毒になる。ほかに好きな人がいても、一度はその気持ちを押し殺していたのだから。
「キミとは、神の前で永遠の愛を誓った仲だろう」
「〝ふり〟をしただけであって本物とは違います」
永遠を誓ってはいないし、愛も存在しない。
「結婚はしっかり愛を育んだ相手とします」
愛のない結婚は、結愛同様に受け入れられない。
「恋人がいる?」
「いえ、いません」
そう答えた直後に〝います〟と言えばよかったと後悔に襲われる。
「それなら俺と愛を育めばいい」
「そんな簡単に言わないでください」