お前を地の果てまで追いかける〜御曹司の決意
でもどうして、別れは突然やってくる、そんな事は分かっているが、まさか本当になんの前触れもなく、そう、喧嘩した事もない、意見がぶつかった事もない、一週間前には彼のマンションで愛を確かめ合ったばかりだった。

普通ならプロポーズの展開なのに、別れを突きつけられるなんて、私は呆然と立ち尽くした。

「ごめん、急に」

「理由を聞かせてくれる?」

「ほかに好きな女が出来た」

彼は俯いたまま、わたしの顔を見ようともせず答えた。

「そうなんだ」

私は淡々と答えた。

いつかはくるかもしれないと思っていた。

当時、陸は二十八歳、私は三十六歳、陸が二十台の可愛い女の子を好きになる事はあり得る事だと思っていた。

私は涙一つ見せず「分かった」と答えていた。

私と陸は別れた。

それから二年、陸とは一度も会っていない。

私の働いている会社は陸のお父様が社長を務めている会社だ。

陸が会社に来る事はあるかもしれない、私は微かな望みで敢えて会社を辞めず働き続けていた。

< 2 / 61 >

この作品をシェア

pagetop