お前を地の果てまで追いかける〜御曹司の決意
「いえ、森川さんにはお近づきにならない方がよろしいかと存じます」

「どうして?」

「私は詳しいことは存じ上げません」

「親父が言ったのか」

阿部は答えに困っている様子だった。

俺は親父の入院先の病院へ向かった。

「親父、体調はどうだ」

「おお、陸、わしは大丈夫だ、お前は仕事はどうだ」

「なんとかやってるよ」

「そうか」

「なあ、親父、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

「なんだ、仕事のことか」

「いや、違うよ、森川優里のこと」

俺の言葉に親父は顔色を変えた。

「やっぱり何か俺に隠していることがあるんだろう」

「別に何もない」

「俺は二年前森川優里と付き合っていた、でも何かの理由で別れを告げたってことか」

親父は何も返す言葉がないような様子だ。

「理由はなんだよ、なぜ俺はその時の記憶がないんだ」

「優里と会ったのか」

「優里?」

「いや、森川くんだったな」

「俺は優里と結婚したいと思ってる」

「それは駄目だ」

親父は声を荒げた。

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