お前を地の果てまで追いかける〜御曹司の決意
しかし、優里のスマホは電源が入っておらず繋がらなかった。

すぐにアパートへ向かった。

アパートの部屋はがらんとして引っ越しの跡が伺えた。

「どう言うこと」

俺が呆然と立ち尽くしていると、一人の男性が声をかけてきた。

「森川さんなら引っ越しましたよ」

「いつですか」

「昨日です、急なことでこちらもびっくりしています」

「行き先はわかりませんか」

「わかりませんね、会社も辞めて心機一転生活を変えると言ってました」

「会社も辞めた?」

俺は親父の尋常じゃない態度を思い出していた。

優里との結婚を反対していた親父が、まさか優里を追い出したのか。

すぐに親父の病院へ向かった。

親父の病室の前に秘書の阿部の姿があった。

「社長、こんな時間にどうされたのですか」

「お前こそ、どうしたんだ、親父に優里の退職の報告か」

明らかに阿部の顔色が変わったのを感じた。

「社長はなぜご存知なのですか」

「やっぱりそうなのか」

< 33 / 61 >

この作品をシェア

pagetop