お前を地の果てまで追いかける〜御曹司の決意
「何言ってるかな、私はずっと結婚しないの」

「なんでだよ」

「なんでも」

こんな会話は日常茶飯事に交わされた。

東京に戻った陸が荒れた生活を送っていたことなど、知る術はなかった私は、前向きに人生を歩んでいるものとばかり思っていた。

陸は仕事に行かず、毎日酒を呑み明かしていた。

「社長、お仕事をしてください」

阿部は毎日俺のマンションにやってきてはお説教をしていた。

「全部お前に任す、社長命令だ」

「社長!」

「いいだろ、親父の言う通り、優里とは別れた、それでいいじゃねえか」

呂律も回らないほど何本の酒瓶を空けたか分からないほど酔っていた、そして部屋は荒れ放題になっていた。

でもなんで俺は優里と別れることを納得したんだ、いくら考えても分からない。

しかも全く記憶がないなんてどう言うことだ。
分からないことだらけで、いたずらに時は流れた。

そんな時、北海道で優里を見かけた俺の大学時代の同期が、久しぶりに連絡してきた。

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