お前を地の果てまで追いかける〜御曹司の決意
「すみません、ありがとうございます」
私は陸のハンカチを使わせて貰い「洗ってお返し致します」とハンカチを握りしめた。

この時、また会えるかなとずるい考えが芽生えたのである。

でも、なんで私と初対面だなんて言ったんだろう。

この時は陸の気持ちは分からなかった。

もしかして、陸の中では私との事は既にリセットされているのだろうか。

意識しているのは私だけ?

陸は不思議そうな表情をして私を見つめた。

「俺、なんか気分を悪くするような事言っちゃったかな」

「いえ、私が勝手に昔の事思い出して泣いちゃっただけです」

「森川さんだっけ?泣き虫なの」

「はい」

私はずっと俯いていた。

彼は部長に向かって「森川さん、借りていいかな」と思いも寄らない言葉を発した。

「構いませんが……」

「じゃ、借りるね」

彼は部長にそう言うと私の手を引き寄せ「ちょっと付き合ってくれる?」そう言って、

私と共に総務部を出て行った。

「社長、どちらへ行かれるのですか」

「ちょっとドライブ」

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