私(俺)の不器用な愛情表現【番外編】
野々村くんには、煌くんのことが好きだということを打ち明けた。
そして、あの日のことを聞いた。
私が思っていることで合っているのかを。
400mを10本のインターバルをしたあの日。
私の応援で。彼は野々村くんに勝ったのか。
私の存在が彼の中では大きいのかどうか。
それを確かめたかった。
「いやさ。アイツ、走る前に。野々村先輩、前走ってくれていいですよ。って言ったんだよ。もうダメです。とか言って!なのに、最後僕のこと抜かすしさー。」
そう言われて確信した。
あの時、きっと私のファイトって声が届いて。
煌くんは力が湧いて野々村くんを抜かしたんだって。
「ほんと、やってくれたわー。まんまと風よけにされた!」
野々村くん。
煌くんは、嘘なんてつかない。
だから、本当に限界だったんだよ。
そりゃそうだよ。だって、9本まで彼はずっと先頭で引っ張ってたんだから。
「そっか!野々村くん惜しかったねー。」
そう言いながら。
煌くんのことを分かってるのは私だけでいい。なんてね。