砂糖漬け
第四話 場違い
自動ドアを開き、革ジャンの雪を払う女性。
肩までの黒髪、整った眉、黒い革ジャンにはたくさんのバッヂ。
細身のジーンズはLee。スニーカーはアディダス。
明らかに場違いな格好で、あの人が店に来たのだ。
ボクは思わず声が出そうになったのを堪え、
「いらっしゃいませ」と言った。少し声が上ずった。
彼女はボクが視線に入っていないらしく、
いつもの早足で棚の奥のほうへ消えていった。
ボクはカウンターから離れ、掃除をするフリをしながら
彼女が見えるところまで向かった。
今、客は彼女を含め3人しかいない。
3人しか、と言っても、この店では多い方だ。
彼女は何やら探している風だった。
キョロキョロしながら棚を行ったり来たりしている。
これはチャンスだ。ボクはありったけの勇気を振り絞って声を掛けた。
「あ、あの、何かお探しですか?」見れば分かる。
なんて当たり前の聞き方なんだろう。でも他に言葉が見つからなかった。
彼女は少し間を置いて答えた。
「えっと・・・チャーリー・パーカーのCDを・・・」
初めて聞く彼女の声は、想像以上に透き通っていた。
もう少しハスキーな声を想像していただけに、ボクは勝手に驚いてしまっていた。
肩までの黒髪、整った眉、黒い革ジャンにはたくさんのバッヂ。
細身のジーンズはLee。スニーカーはアディダス。
明らかに場違いな格好で、あの人が店に来たのだ。
ボクは思わず声が出そうになったのを堪え、
「いらっしゃいませ」と言った。少し声が上ずった。
彼女はボクが視線に入っていないらしく、
いつもの早足で棚の奥のほうへ消えていった。
ボクはカウンターから離れ、掃除をするフリをしながら
彼女が見えるところまで向かった。
今、客は彼女を含め3人しかいない。
3人しか、と言っても、この店では多い方だ。
彼女は何やら探している風だった。
キョロキョロしながら棚を行ったり来たりしている。
これはチャンスだ。ボクはありったけの勇気を振り絞って声を掛けた。
「あ、あの、何かお探しですか?」見れば分かる。
なんて当たり前の聞き方なんだろう。でも他に言葉が見つからなかった。
彼女は少し間を置いて答えた。
「えっと・・・チャーリー・パーカーのCDを・・・」
初めて聞く彼女の声は、想像以上に透き通っていた。
もう少しハスキーな声を想像していただけに、ボクは勝手に驚いてしまっていた。