君が好きでたまらない!
プロローグ
梅雨が終わりそうな夏のある日。雨が止み空は高く青々と輝き、蝉が鳴き始めた頃。
私、神宮寺佳織は、父の経営する芸能事務所『サンベリー』のメイク室にいた。
目の前には、大きな電球が3つずつ左右に取り付けられた鏡が光っている。所謂、女優鏡だ。まさか自分がここに座る日が来るなんて。
いい匂いの化粧水や乳液、美容クリーム、化粧下地で整えられた後は、トップスタイリストである姉の牧野沙織がメイクを施していく。
何種類ものコンシーラー、ファンデーション、アイブロウ、色とりどりのアイシャドウ、マスカラやコーム、スポンジ、いくつものメイクブラシが並ぶ。
数え切れない程のメイク道具に囲まれ、別人になっていく自分。
元々アイドル顔と言われる童顔な私だが、鏡の前にいるのは、気の強そうな美人。ウィッグもつけて、これから露出の多い服に着替えさせられるらしい。確かに、自分とは別人だ。
「これで新さんも佳織だって気付かないでしょ!」
「確かに、私じゃないみたい……」
メイクでこれ程までに別人になれるとは。新さんというのは、私の夫である神宮寺新さん。結婚記念日にも仕事で帰ってこないような多忙な人だ。姉に相談したところ、夫に浮気心があるかどうか、ハニートラップを仕掛けてみろと言われ、姉の手腕で別人に変身させられたところだ。
私はこれから、夫の浮気調査を行うためハニートラップを仕掛けます。
私、神宮寺佳織は、父の経営する芸能事務所『サンベリー』のメイク室にいた。
目の前には、大きな電球が3つずつ左右に取り付けられた鏡が光っている。所謂、女優鏡だ。まさか自分がここに座る日が来るなんて。
いい匂いの化粧水や乳液、美容クリーム、化粧下地で整えられた後は、トップスタイリストである姉の牧野沙織がメイクを施していく。
何種類ものコンシーラー、ファンデーション、アイブロウ、色とりどりのアイシャドウ、マスカラやコーム、スポンジ、いくつものメイクブラシが並ぶ。
数え切れない程のメイク道具に囲まれ、別人になっていく自分。
元々アイドル顔と言われる童顔な私だが、鏡の前にいるのは、気の強そうな美人。ウィッグもつけて、これから露出の多い服に着替えさせられるらしい。確かに、自分とは別人だ。
「これで新さんも佳織だって気付かないでしょ!」
「確かに、私じゃないみたい……」
メイクでこれ程までに別人になれるとは。新さんというのは、私の夫である神宮寺新さん。結婚記念日にも仕事で帰ってこないような多忙な人だ。姉に相談したところ、夫に浮気心があるかどうか、ハニートラップを仕掛けてみろと言われ、姉の手腕で別人に変身させられたところだ。
私はこれから、夫の浮気調査を行うためハニートラップを仕掛けます。
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