君が好きでたまらない!
私たちのマンションは、新さんが契約した駅近の高層マンションだ。常駐するコンシェルジュから新さんが既に帰宅していると聴き、慌ててエレベーターに乗り込む。
携帯を見ると、私が居酒屋を出てすぐの時間に「これから帰る」と連絡が入っていた。まずい。どう言い訳しよう。専業主婦の私が、夜間外出することはめったにない。お酒も少し飲んでいるし、何の連絡もしないまま出かけてしまって、どう思うのだろう。
結局これと言った良い言い訳も思いつかないまま、玄関のドアまでたどり着いてしまった。
「ただいま戻りました」
「おかえり」
帰宅して入浴済みなのだろう、ソファでゆったりとくつろぐ新さん。彼が家でゆっくりしている姿なんて、本当に珍しい。驚いていると、「いつもと逆で新鮮だな」と新さんは笑った。
(えっ、笑った?)
怒るか怪訝に思われると想像していたが、笑顔で出迎えてくれるとは。
「きょ、今日は早かったんですね?」
「あぁ」
「何か召し上がりますか? すぐに作ります!」
「いや、いいよ」
そして徐に立ち上がると、寝室から可愛らしいブーケを手に戻ってきた。
少し早い小さな向日葵と白い薔薇が3本くらいの小ぶりなものだが、私好みのとても可愛らしい色合いだ。
「これ」
「わぁ! 綺麗な花束ですね」
「君に」
「えっ、あ、ありがとう……。でも誕生日でもないのにどうして?」
「君に贈りたいと思ったから」
「……ありがとう、ございます」
可愛い花束。結婚して初めてもらった。素敵。嬉しい。なのにどうして、こんなに胸がざわざわするんだろう。
もしかして、不倫した人にありがちな急に優しくなるやつかしら……。ということは、メイクで変身した私と浮気しようとしてるってこと?! 後ろめたい気持ちから、妻にも優しくしておく……ということかな。
むくむくとイライラが募ってきて、花束も大して喜べない。だけど、この疑問を直接彼にぶつける勇気もなく、そしていつも通り何もない夜が更けていった。
携帯を見ると、私が居酒屋を出てすぐの時間に「これから帰る」と連絡が入っていた。まずい。どう言い訳しよう。専業主婦の私が、夜間外出することはめったにない。お酒も少し飲んでいるし、何の連絡もしないまま出かけてしまって、どう思うのだろう。
結局これと言った良い言い訳も思いつかないまま、玄関のドアまでたどり着いてしまった。
「ただいま戻りました」
「おかえり」
帰宅して入浴済みなのだろう、ソファでゆったりとくつろぐ新さん。彼が家でゆっくりしている姿なんて、本当に珍しい。驚いていると、「いつもと逆で新鮮だな」と新さんは笑った。
(えっ、笑った?)
怒るか怪訝に思われると想像していたが、笑顔で出迎えてくれるとは。
「きょ、今日は早かったんですね?」
「あぁ」
「何か召し上がりますか? すぐに作ります!」
「いや、いいよ」
そして徐に立ち上がると、寝室から可愛らしいブーケを手に戻ってきた。
少し早い小さな向日葵と白い薔薇が3本くらいの小ぶりなものだが、私好みのとても可愛らしい色合いだ。
「これ」
「わぁ! 綺麗な花束ですね」
「君に」
「えっ、あ、ありがとう……。でも誕生日でもないのにどうして?」
「君に贈りたいと思ったから」
「……ありがとう、ございます」
可愛い花束。結婚して初めてもらった。素敵。嬉しい。なのにどうして、こんなに胸がざわざわするんだろう。
もしかして、不倫した人にありがちな急に優しくなるやつかしら……。ということは、メイクで変身した私と浮気しようとしてるってこと?! 後ろめたい気持ちから、妻にも優しくしておく……ということかな。
むくむくとイライラが募ってきて、花束も大して喜べない。だけど、この疑問を直接彼にぶつける勇気もなく、そしていつも通り何もない夜が更けていった。