君が好きでたまらない!
そんな後ろ向きな気持ちで行ったお見合いで、結果として私は新さんに恋をした。
清潔感のある短髪、シュッとした輪郭の中にある鋭い眼差し、そして銀縁眼鏡!薄い口元がセクシーで、存在するだけで放たれる色気にドキドキした。高身長の精錬された体躯に、上質なスーツがよく似合っている。
こんな素敵な人が実在するなんて。ときめきが止まらない。目が合うと優しく微笑むので、なかなか顔を見れない。絶えず俯いてばかりの私にヤキモキしたのか、お決まりの「あとは若い二人で」と部屋に二人残されてしまった。
人見知りに一目惚れも掛け合わせると、一言も話しかけられないし彼の顔さえ見ることが出来ない。そんなモジモジする私に、突然彼が話しかけてきた。
「佳織さん、突然の見合いで申し訳ありません。驚きましたよね?」
「は、はい……」
「急な申し出で恐縮ですが、必ず幸せにしますので、私と結婚していただけませんか?」
「……え?」
私の妄想が繰り出した幻聴だろうか。都合の良い副音声でお送りしています?思わず彼の方を見ると、私を真っすぐ見てにっこりと微笑んだ。
「金銭的にも不自由させません。不貞さえしなければ他は好きにして構いません。社長夫人としての煩わしい社交は出来る限り減らします。どうか、私との結婚を前向きにご検討いただけませんか?」
この人は何を言ってるの?まるでビジネスの営業みたいな口説き文句だけれど、こんなに素敵な人が、どうして私なんかと結婚したいといってくれるのかしら。
「……あ、あの、神宮寺さんは……、ほかに、と、特別な女性はいないんですか?」
「いません」
食い気味に否定された。では偽装結婚してでも隠したい性癖でもあるのかしら。恋人が女性とは限らないし…。もっと違う聴き方をしたほうがよかったかな…。
悶々と考え込んでいると、不安そうな声色で、「……年上の男は嫌、かな?」と、これまた色気たっぷりに聞いてくる。
「いいえ! あの、その、本当に、私で、良いんですか?」
「はい。佳織さんを妻にしたい。……俺と結婚してもらえないだろうか」
私を真っすぐ見つめる瞳にくらくらした。こんなかっこいい人と夫婦になれるなんて、夢みたい。浮かれまくった私は、特に疑問も抱かずに結婚を決めたのだった。
「……はい。わ、私で良いのなら」
そう答えるので精一杯で、彼の顔がどんな表情をしていたか、見る余裕もなかった。だけど俯いた頭の向こうから聞こえた「ありがとう」が、嬉しそうに弾んでいて、私も嬉しくなったのは覚えている。
清潔感のある短髪、シュッとした輪郭の中にある鋭い眼差し、そして銀縁眼鏡!薄い口元がセクシーで、存在するだけで放たれる色気にドキドキした。高身長の精錬された体躯に、上質なスーツがよく似合っている。
こんな素敵な人が実在するなんて。ときめきが止まらない。目が合うと優しく微笑むので、なかなか顔を見れない。絶えず俯いてばかりの私にヤキモキしたのか、お決まりの「あとは若い二人で」と部屋に二人残されてしまった。
人見知りに一目惚れも掛け合わせると、一言も話しかけられないし彼の顔さえ見ることが出来ない。そんなモジモジする私に、突然彼が話しかけてきた。
「佳織さん、突然の見合いで申し訳ありません。驚きましたよね?」
「は、はい……」
「急な申し出で恐縮ですが、必ず幸せにしますので、私と結婚していただけませんか?」
「……え?」
私の妄想が繰り出した幻聴だろうか。都合の良い副音声でお送りしています?思わず彼の方を見ると、私を真っすぐ見てにっこりと微笑んだ。
「金銭的にも不自由させません。不貞さえしなければ他は好きにして構いません。社長夫人としての煩わしい社交は出来る限り減らします。どうか、私との結婚を前向きにご検討いただけませんか?」
この人は何を言ってるの?まるでビジネスの営業みたいな口説き文句だけれど、こんなに素敵な人が、どうして私なんかと結婚したいといってくれるのかしら。
「……あ、あの、神宮寺さんは……、ほかに、と、特別な女性はいないんですか?」
「いません」
食い気味に否定された。では偽装結婚してでも隠したい性癖でもあるのかしら。恋人が女性とは限らないし…。もっと違う聴き方をしたほうがよかったかな…。
悶々と考え込んでいると、不安そうな声色で、「……年上の男は嫌、かな?」と、これまた色気たっぷりに聞いてくる。
「いいえ! あの、その、本当に、私で、良いんですか?」
「はい。佳織さんを妻にしたい。……俺と結婚してもらえないだろうか」
私を真っすぐ見つめる瞳にくらくらした。こんなかっこいい人と夫婦になれるなんて、夢みたい。浮かれまくった私は、特に疑問も抱かずに結婚を決めたのだった。
「……はい。わ、私で良いのなら」
そう答えるので精一杯で、彼の顔がどんな表情をしていたか、見る余裕もなかった。だけど俯いた頭の向こうから聞こえた「ありがとう」が、嬉しそうに弾んでいて、私も嬉しくなったのは覚えている。