クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

准教授、密かに溺愛する

どのくらい経った？
何時なのかも分からない。

気付けばいつの間にかソファで寝ていたらしく、要の膝の上に頭を預けていた。
お腹にはブランケットがかけられている。

先生はどこかに電話している？　

ボーっとした頭でぼんやり見ていると目が合ってにっこりされる。

メガネを外していて…

びっくりしてガバッと起き上がる！

誰、このイケメン⁉︎


「泣き疲れて寝ちゃったからどうしようかと思った。」

笑いながらそう言うと、紗奈の額にキスをして目が腫れちゃいけないからと濡れタオルを目元に当ててくれる要は、まるで別人に見える。

お風呂に入ったのかラフな部屋着に肩にはタオルをかけて髪はまだ少し濡れている。

「どうする？風呂入る？
着替えも歯ブラシも用意してもらったから、届いてるはず。」

そう言って立ち上がり、玄関に行ったと思うと出張の荷物と紙袋を持って戻ってきた。

「足、怪我してるからシャワーのほうがいいな。」

はいっと、紙袋を渡されて中を見ると部屋着や歯ブラシ、洗顔用具など一通り入っている。
「えっ？…。」

「何？
もう12時過ぎだよ。
観念してお風呂行って来て。廊下の手前左側のドア。」

「歩けないなら抱き上げて連れてこうか？」
いたずらっ子みたいに笑って要が言う。

先生ってこんな感じだった？
喋り方も雰囲気も変わって、慣れない紗奈はドギマギする。

「素はこんなだよ。
普段、助教授として過ごしてるから、どっちが自分かもはや分からないけど。」
苦笑いしながら話す要はすごく自然体に見える。

「紗奈もすぐには無理かもしれないけど、力抜いて楽に過ごして。」
　

「私まだここに住むって決めてっ…。」　

突然キスされた⁉︎
チュッと軽くだけど、びっくりして頭が真っ白になる。

「強情なとこも可愛いけど、早く寝ないと明日に響くといけないけら風呂入ってきて。」
クルッと体を回転させられてポンっと背中を優しく押される。

「早く行かないと、またキスするから。」
いたずらっ子の顔をして要が言う。

紗奈は一目散にお風呂場に逃げ込む。

どうしよう。心臓が持たない、先生が先生じゃないみたい。