クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
「CGでもいいんだけど、温かみが無いんだよねー。もちろん、パースソフト使ってもいいんだけど、色だけは塗りたいなぁって思うし。」
酒井先輩の思いを形にしたいと思いながら紗奈は考える。

「自分も、中山さんのパース見てみたいです。」
突然、後ろから低音の声がして紗奈はビックっとする。

「お疲れ様です。」

振り返ると、学校モードの要がいつの間にかいた。
「お疲れ様です。
あの、肉まん美味しかったです。ご馳走様です。」

要はニコリと笑う。
「いえ。良かったです。
今日、いない人のは研究室の冷蔵庫にあるので伝えといて下さい。」
落ち着いた感じで話す要はいつもの先生だった。
オンオフの切り替えが凄いな。と紗奈は思う。

「模型はいつまでに終われそうですか?
2案作ると聞いたので、
大変そうなら終わったチームからヘルプを出してもらってもいいです。
あまり無理せずにやってもらいたいので。」

「一応、1案は今週中に仕上げたいと思います。」
酒井先輩はそう言って計画書を要に渡す。

「金曜日が追い込みですね。

出来るだけ帰るように調整して下さい。
どうしてもと言うなら土曜に工作室を使えるように自分も手配しますし。」

「ありがとうございます。
もしかしたらお願いするかもしれません。
また、先生に連絡しますね。」
酒井先輩はきっと間に合わないと思ってる。

酒井先輩の設計図案はプライベート空間がある集合住宅なので、8棟ほど模型を作らなければいけない。

しかも、全ての間取りやサイズもバラバラなので、敷地全体は2人掛けのダイニングテーブルくらいの広さになる。持ち運びも難しい。
それを2案作るので他のチームよりどうしても時間がかかってしまう。
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