クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

帰り道


コンコンコン

「はい。」
中から先生の声がして、ホッと安心する。

「失礼します。」
そっとドアを開け中に入る。

「お疲れ様でした。
良かった。約束忘れて帰ってしまうのかと思いました。」
立ち上がり、要は背広のジャケットを着て帰り支度をする。

「すいません。待たせてしまいましたか?
遅くなってしまって。」

「いえ。うっかり連絡手段を伝え忘れていたので、悩ませたかと心配してました。」
にこりと微笑み、紗奈の頭をポンと触れる。

「さぁ。お腹が空きました。行きましょう。」

「えっ!!
一緒に外を歩くとかダメですよ。誰になんて思われるか…。」

「自分は意外と平気かと思ってますけど、側から見たら、生徒と先生以外に見えないですよきっと。」

紗奈はちょっと考えて、
「じゅあ。先生から少し離れてついて行きます。偶然同じ方向に行く感じなら大丈夫かと。」
良いアイデアを思いついたと、得意気に言う紗奈を堪らず要は抱きしめる。

「とりあえず、後ろは心配なので前を歩いて下さい。その前に連絡先を交換した方がいいのでは?」 

「確かにそうです…。」
学校でまさか抱きしめられるとは思ってもいなかった紗奈は、急に縮まった距離にドキっとして固まる。

そんな紗奈を知ってか知らずか、要はつむじにキスをして離れた。

「あの…これはアウトなのでは?…。」
遠慮がちに紗奈が言う。

要は携帯を出しながら、
「アウト?
誰も見ていない所ではセーフでは?
もはや、あなたと2人っきりになって何もしないと言う事は拷問に近いので無理です。」
易々とそう言って、要は紗奈に携帯を出すよう促し連絡先を交換する。

「これで安心です。」
車の停めてある駐車場を地図で示し紗奈にメールする。
要は、行きましょうと紗奈に先を促す。
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