クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
オムライスは卵がふわふわで、ハンバーグは肉汁がジュワーと溶け出して両方ともとても美味しかった。
紗奈の提案で半分ずつ交換して食べた。
要にとっては誰かと分けあって食べるのは初めてだったし、こんなに楽しいと思った食事の時間も初めてだった。
「外食に行くと、うちの家族はみんな違うのを頼んでシェアして食べるんです。あれもこれも食べたいって思うからお得でしょ?」
「紗奈の家族は仲良しなんだな。うちはそう言う感じじゃないから…」
苦笑いしながら要は言う。
「強引に引越しさせたけど、紗奈の家に挨拶しとかないとな。きっと心配されてる。」
紗奈がこんなに素直で純粋なのは、きっと両親に愛情をたっぷり与えられて育ったんだろうなと思うと、自分も誠実に向き合いたいと思う。
「引越しした事はまだ連絡してなくて…
きっと先生の家にいるなんて言ったらもっと心配させちゃうだろうし…。」
要は自分の思いだけで、強引に引越しさせた事を申し訳ないと思いながら、既にもう彼女の事は手離せないと強く思う。