クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
「俺の親父は北建ハウジングの社長で兄は常務をやってて、弟は営業部長だったかな?
だから跡継ぎは間に合ってるし、俺は好きな事やらせてもらってるんだ。」

北建ハウジングと言ったら全国的にも名が知れた大手の建築会社だ。
衝撃的な事実を知って紗奈はその場に座り込みそうになる。
要がすかさず抱き上げてソファに座らせて、自分も隣に座ったかと思うと紗奈を横抱きに膝に乗せ抱きしめる。

「俺自身はただの公務員だよ。」
と要は笑う。

近い距離にドギマギしながら紗奈も要に寄り添う。

「あの、要さん。
…私の事、ご両親にはお話しするんですか?」

「もちろん。少し落ち着いたら紹介したいと思ってる。」

「…私はまだ学生ですし…やっぱり受け入れて貰えないんじゃ無いんでしょうか?
…それに私、家柄だって無いし、父の借金だってあるしっ…。」
突然、軽くキスされて話しを止められる。

「そういう全てを引っくるめて君が良いんだ。側にいて欲しいと思うのは今までもこれからも、紗奈だけだ。
これ以上、自分の事を卑下したらまたキスするからな。」
要の真剣な顔に紗奈の瞳が潤む。
髪を優しく撫でられて、涙が溢れる。

「ごめんなさい。
私、本当はこんなに泣き虫じゃ無いんです。要さんの前だと何でかすぐ涙腺が緩んじゃって…うっ…。」
両手で顔を隠そうとするのを要に止められ、流れる涙を唇で舐めとられる。
びっくりして紗奈は固まる。
要は優しく抱きしめていつまでも髪を撫でてくれる。

「他には?
学校にもしバレたらとか?
俺がそれで仕事辞めさせられたらどうしようとか?
考えてるんだろ?」

「…要さんは学校に必要な人です。私のせいで追い出されるような事があったらと思うと怖い…。」

「俺は、紗奈を失う事になるのが1番怖い。」

何の価値も無い、ただの学生の私を何故そこまで思ってくれてるのか不思議だと思う。

「大学の事は俺が何とかする。紗奈もちゃんと卒業させる。大丈夫。俺を信じて。」
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